とある洞窟の只中にて・・・

 まざまざと見せつけられる ――― 悲惨も極まりない光景。 

灯りの松明を無くしてしまって、ほとんど漆黒の暗闇でしかない洞窟内のはずなのに。

尚且つ、深傷を負わされている俺は、朦朧としながら薄れてゆくばかりな意識だというのに。

如何してなのか、今はハッキリと鮮明に見えてしまう。

 

 俺の血に塗れながら嘲笑っている、深緑の憎々しいゴブリンども。

不潔で不愉快も甚だしい奴等の只中で、純白に映えていた幼馴染の悲哀な姿も。

この彼女とは、同じ村で育った腐れ縁のような関係だった。

剣士の冒険者として村から旅立った俺と一緒に、パーティーを組んだ仲間でもある。

そして何よりも俺にとって彼女は、掛け替えのない存在なのだ。

 

 何時も男勝りに振る舞い、常に気丈だった武道家であるはずの彼女が。

ただただ恐怖に顔を歪ませながら、あられもない姿なままで身震いしているのみ。

だけど如何して彼女は、こんな無残な有様に・・・というか。

この俺もまた、ボロボロなまでに酷すぎる状態に成り果ててしまっている。

だけど、全てはパーティーのリーダーでった俺の所為だろう。

悲愴に満ちて見開いたままな彼女の視線は此方側、この俺へと向けられているよう。

 

 もしかして、この俺に対いて彼女は。

こんなザマになってしまったけど、それでも助けを求めているのだろうか。

こんなザマになってしまったから、やっぱり憐れんでくれているのだろうか。

 

 まあ、たぶ・・・・・  んぐっ

再びゴブリンどもが、動かぬ俺の身体へと制裁を加えて来たようだ。

 

 2 PEAGE ▼

 

 
ゴブ’ノンスレイヤーに登場する、モブキャラの女武道家   UpDated : 2019 / 1 / 13
 
 
 

 

イラスト、CG等々、無断転載・複製を禁止していますっぽい。  Copyright (c)2008 MOMO'S WORKS  All Rights Reserved.