これは二年ほど前くらいの寒かった時季に、複数ほど撮った写真の中の一枚。
嘗てウチの出版社が発行していたタブロイド雑誌の連載特集に、 『 頑張る地方の中小企業 』 と言うものがあった。
この純真無垢に笑う可愛らしい彼女は、取材した先のとある町工場家族の娘さん。
フライドチキン等を揚げるフライヤーの籠の取っ手を主に製作しており、小さな敷地で零細ながらも一家四人で営んでいた。
地元の商業高校へと通いながら、部活もせずに弟の面倒を観乍ら工場の事務を手伝っていた、とても明朗だった娘さん。
高校を卒業したら某有名フライドチキン店の売り子になるのが密かな夢なのだと、照れくさそうに語ってくれたのが印象的だった。
だけど如何して突然に、彼女の写真を取り上げたのかといえば。
先日、当出版社ホームページの編集部宛に届いた、画像ファイル付きのメール。
差出人は 『 雷の核心 』 と記載されており、返信用のアドレスは、一目で出鱈目であろうと判るようなものだった。
月に何度か来る迷惑メールや悪戯の類ではないのかと思って、直ぐに削除しようとしたのだけど。
問い合わせ内容の冒頭に、特集記事のタイトルと町工場の社名、娘さんの氏名まであったのから思い止まった。
少し前に風の噂で、あの町工場が経営難にて無くなってしまった事を小耳に挟んでいたからだ。
如何やら、外資系企業に工場丸ごと買い叩かれてしまったらしく、娘さんを含めた経営者家族は行方知れずらしいという事も。
しかし特集の追加取材どころか、今は発刊していたタブロイド誌自体が廃刊してしまっている。
例の娘さんの近況が気がかりだったので、添付されていた画像を開いたところ・・・。
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